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第2話
それを寂しく感じながらも、いつかはそれぞれが愛した人と結婚をして家庭を築いていき、生活の中心が家族になっていくのだろうと考えるとそれはそれでとても幸せな事だと歩は思った。
けれどやっぱり、四人揃って会える日があるととても嬉しくて、その日が来るのを子供のようにワクワクと心待ちする自分はまだまだ結婚なんて出来ないな、と溜息が出る。
そもそも、ずっと近くにモテる三人がいたから大抵の女子は三人に夢中で歩の事など眼中になかった。たまに三人に近付きたくて歩を利用しようとする子もいたけれど、そのせいで自分に好意があって声を掛けてくれた子まで疑ってしまい恋愛とは無縁の学生生活を送ってしまった。
恋に臆病なのは三人のせいじゃない。自分に自信がないからだ。彼等のようにはなれなくても自分の良さを何か一つでも見い出せたらいいのに。
このままでは四人の中で一人だけ独身で、しかも童貞で終わってしまいそうだ。せめて男に産まれたからには一度くらいは経験しておかなければという焦りはあるのに、なかなか行動にうつせない。
三人だったらきっと経験豊富でスマートに女の子をデートに誘ったりするのだろう。
「歩、聞いてる?」
空になったオレンジジュースのグラスを持ったまま物思いに耽っていた歩は千花に声を掛けられて我に返った。
そうだ、今日は久しぶりに四人の予定が合って一緒に夕飯を食べる約束をしていたのだった。そして待ち合わせ場所のファミレスで何故か歩一人が三人に向き合う形で座っている。三人は二人がけの席に無理やり並んで座っていて、窮屈そうにしている。
こっちに一人、移動してこればいいのに。空になったグラスをテーブルに置いて、奇妙な席の座り方に首を傾げた。
「それで、オレ達三人でよく話し合ったんだけどさ」
身を乗り出した千花が歩の手を握った。
何の話を話し合ったのか分からず、ポカンとする歩の手を幸雄と亮も奪い合う様に握ってきた。
「告白するなら抜け駆けなしで三人一緒にしようって」
「うん?」
告白ってなんの事だろう、自分に内緒で何か悪い事でも仕出かしたのだろうか。それとも三人同じタイミングで結婚報告でもするつもりなのか。だとしたら抜け駆けだなんて言い方はしない筈だが。
「歩」
「なに?」
三人の真剣な視線が痛くて目を逸らしたかったけれど、余程大切な告白なのだろう。ならばこちらも逸らさずに聞かなければ。
「俺達は昔から歩の事が好きだ」
そう言ったのは幸雄。
「え? 僕もみんな好きだよ? そんな改めて言われると照れるなぁ」
「そーじゃねぇよ!」
少し声を荒らげて否定したのは亮。
怒られた気がして思わず肩がビクッとなってしまった。
「もー、亮! 歩が怖がってんじゃん!」
すかさず千花が亮を睨みつけると、亮も「悪い」としょんぼりした。
「あのね、歩。オレ達、歩の事が大好きなの」
「うん、だから僕も……」
「友達としてじゃなくて、性的な対象として好きなの」
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