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第10話
自分が千花のキスを受け入れる事が出来るのは男同士という問題をクリアした事になる。キスから先の事はまだ分からないけれど、少なくとも恋愛対象として千花を見る事が出来る。
それならば、幸雄と亮はどうなのだろう。千花の様にキスをすれば分かるだろうか。
「いくら時間がかかってもいいから、答えがほしい。オレも、他の二人も」
「うん……」
「まぁ、オレはキスが出来てラッキーだけど、他の二人が知ったら怒るだろうなぁ」
クスクスと笑いながらベンチから立ち上がると、飲みかけの缶コーヒーを持ってヒラヒラと手を振る千花。
「答えが出たら教えてね」
「うん」
何事もなかったかの様に背中を向けて去っていく千花の後ろ姿を見送る。
さっきまでの熱が嘘みたいに引いて、残ったのは千花の柔らかい口唇の感触だけだった。
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