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第27話
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あれからこっそりと勉強を重ねて知識だけはついた。
必要な物も通販で手に入れていつでも使えるようにしてある。
あとは全員のスケジュールと、自分の覚悟次第。三人の事だから理由を言わなくても予定を合わせてくれるだろう。
身体の負担を考えたら同じ日にするのは初心者には厳しいかもしれない。それでも初めては全員一緒が良かった。
三人をちゃんと分け隔てなく愛しているという事を証明するには、別々では意味が無いから。
一緒に暮らし始めて数ヶ月経つけれど、告白の後にそれぞれと会って話をした時以来、キスすらしていない。三人と付き合っていくと決めた時、それなりの覚悟もしていたのに距離感が急に近くなった訳でもなく、今までと変わらない親友としての接し方だった。
恋愛経験のない歩に合わせて我慢してくれているのだろうと予想はついた。無理やり押し倒す事も出来るのにしないのは、本当に歩を一番に考え大切にしているからだということも。
だからこの事は自分からちゃんと行動しなければならない。そうしないと彼等はこれから先もずっと変わらぬ距離感のままでひたすら尽くし続けるだけになる。
そんな一方的な尽くし方は嫌だった。大切にされた分、こちらも大切にしたいし、愛された分、それ以上に愛したい。
それは目には見えないものだけれど、見えないからこそちゃんとしなければいけない事だ。
予習は完璧だ。覚悟も出来ている。どれだけ三人を思っているかちゃんと伝われば嬉しい。
既に三人には明日、予定をあけてもらっている。今夜から明日一日、沢山時間はある。問題は体力が続くかだが、そこはやってみないとわからない。
「……よし」
いつもより念入りに身体を洗って、歯磨きもしっかりした。この日の為に新しい下着とパジャマにした。通販で買った物も部屋に取りに行けば、準備は完璧だ。丁度、三人ともリビングでまったりとしているところだ。
今しかチャンスはない。急いで部屋から必要な物が入った箱を持って来て、リビングのソファでテレビを見ながら寛ぐ三人に声をかけた。
「幸雄、千花、亮、聞いて」
箱を持つ手に知らず知らずのうちに力が入る。
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