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第29話

「大丈夫。信じてるから、全部、委ねるよ」  自分の身体で三人が興奮してくれるかも不安要素だけれど、とにかくやってみないと分からない。その結果がどうであれ、後悔はきっとしない。 「だから……抱いて欲しい」  最初に立ち上がったのは亮だった。早足で歩の前に来て手首を掴んで歩の自室へと引っ張っていった。 「亮っ!?」  痛いくらいに掴まれた手首は簡単に外すことは出来ず、そのまま一気に引き寄せられて唇を奪われた。  持っていた箱が落ちて角が潰れてしまったけれど、そんなことはすぐにどうでも良くなった。 「んっ……」  余裕のない乱暴なキスだった。けれどそれが亮らしくて強ばっていた身体から少しずつ力が抜けていくのが分かる。  口の中に亮の舌が強引に入ってきて歩の歯列を舌先でなぞる。心臓がバクバクと高鳴り、軽い酸欠状態になった歩はそのまま亮に身を委ねた。 「亮だけズルい」  ふわふわした頭の中で千花の声が響く。いつの間にか歩の部屋にやって来ていた千花と幸雄が亮から歩を剥がす。 「次はこっち」  千花の手が歩の頬に触れる。優しい綺麗な手とか裏腹に千花の目に余裕は感じられなかった。 「俺が先だろ」  歩にキスをしようとした千花を押し退けて幸雄がキスをしてくる。それを千花が奪って、今度は千花がキスをする。幸雄と千花に交代でキスをされ、口内を探られた歩の頭の中は一体今、どっちとキスをしているのか判断出来ない程、蕩けていた。 「歩」  亮がキスをしてきてその隙に千花が歩の服の裾から手を入れていく。素肌に千花の指が滑っていく感覚に足元からゾワゾワとした波が脳まで昇っていった。 「ふ、あっ……」  未知の感覚に背中を反らすと、誰とのものか分からない唾液が糸を引いて光った。

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