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第3話
「…ん。」
まだ暗いのか、灯篭の光が灯っている。
「おはよう。深雪。」
落ち着いた声の主は 義兄様だった。
「…どぉしてあんなこと。」
「覚えてないの?深雪は小さい頃からずっーと
僕と結婚するっていってたよ。」
「…でもね。義兄様、あの約束は僕たちは交わ
せない。」
「なぜ?」
「義兄様は、向こうの世界を治める鬼の子。
僕はただの人間の愛人の子。
命の価値が全然違う。
僕の好きと、義兄様の好きは違う。
義兄様は僕だけの人ではない。
だから…もぉ帰って。」
僕は振り向き涙を流すと義兄様に背を向ける。
妖術により、襖がすべて僕を閉ざすように閉ま
っていく。
義兄様の怒りの顔を僕は見ることはなかった。
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