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第5話
コンコン
「しつれいしやす。姐さん、大丈夫でありんす
か?」
「…あぁ。大丈夫だよ。…。」
「…姐さんのお客、義兄様だったんですね。」
「…そうだよ。」
「なら!!せっかく会えたのにどうしてでありん
すか?」
「こら、華!!」
華がずいずいと寄ってくる。
「…華、僕はもう汚れている。でも義兄様はと
ても綺麗だ。そんな義兄様のお荷物や悪い噂に
なりたくない。
だから、諦めるんだよ。」
「…そんな…。」
風は僕の目元に温かい蒸しタオルをかけてくれ
た。
「姐さんは…いつでも会うことができるの
に。」
ポツリと漏らしたのは、僕の部屋に遊びに来て
いた“いもうと”だった。
「俺は、もう二度と会えないのに。
姐さんは向こうから会いに来てくれたのに!!
どうしてでありんすか?」
「…晴。」
「…じゃぁ、ちょっと昔の話をしようか。」
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