6 / 13

第6話

ドタバタドタバタ 「母上ー!!みてー!!」 小さい男の子、深雪は大人しそうで美しい女性 に向かって走っていった。 「母上!!雪だよ。」 深雪が差し出す手の中には少しの雪があった。 「綺麗ね。まるで深雪みたいな色ね。」 「えへへ。義兄様にもみせてくる!!」 「義兄様!!みて!雪だよ。」 書物を書いていた義兄様は振り向き頭を撫でて くれた。 「とても綺麗だね。ささ、手がかじかんできた だろ? すぐに暖かくなるから待ってて。」 義兄様は焼き石を少し冷ましてから綺麗な布で くるみ、僕に持たせた。 「わぁ、温かい!!…でも雪溶けちゃった。」 「また、来年一緒に集めにいこう。」 「うん。」 侍女たちもそんな、兄弟をほほめましく眺めて いた。 そして春が過ぎ夏になった。

ともだちにシェアしよう!