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第6話
ドタバタドタバタ
「母上ー!!みてー!!」
小さい男の子、深雪は大人しそうで美しい女性
に向かって走っていった。
「母上!!雪だよ。」
深雪が差し出す手の中には少しの雪があった。
「綺麗ね。まるで深雪みたいな色ね。」
「えへへ。義兄様にもみせてくる!!」
「義兄様!!みて!雪だよ。」
書物を書いていた義兄様は振り向き頭を撫でて
くれた。
「とても綺麗だね。ささ、手がかじかんできた
だろ?
すぐに暖かくなるから待ってて。」
義兄様は焼き石を少し冷ましてから綺麗な布で
くるみ、僕に持たせた。
「わぁ、温かい!!…でも雪溶けちゃった。」
「また、来年一緒に集めにいこう。」
「うん。」
侍女たちもそんな、兄弟をほほめましく眺めて
いた。
そして春が過ぎ夏になった。
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