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第13話
あれから、毎日毎日、義兄さまに注がれた。
「おぇっ…うぅ…。」
つい先日、吐き気が襲ってきた。
恐らく妊娠したのだろう。
「…っ…義兄さまに隠さないと…。」
義兄さまに知られるわけにはいかない。
義兄さまには、許嫁がいるんだから…。
「うぅ…。はぁっ…はぁっ…」
「深雪様…大丈夫ですか?」
この声は…
「紅緒なの…?」
紅緒は小さい頃、僕が母上と義兄様にしかなついてなか
った時、唯一僕が懐いた使用人だった。
「深雪様、よくぞご無事で…」
「…どうして…深雪が?」
「私は真人様に呼ばれてここに来ました。」
「これからも私は深雪様の側にいます。」
よかった…深雪がいるなら僕もさみしくないだろう。
「…ところで、深雪様…ご懐妊されてますね?」
僕は体を震わせた。
「お願いだから!義兄様にだけはいわないで!」
僕は必死にお願いした。
「…わかりました。黙っておきますから。とりあえず、身
体に優しいものを食べましょう。」
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