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ある日の放課後
「マジこういうのやめてよ、祥さん」
侑が嘆息して矢が飛んできた草むらに目を向ける。すると、「悪い悪い」とガサッと音を立てて一人の青年が現れた。
年の頃は20代半ば。褐色の引き締まった体に短く刈った髪。見るからに溢れんばかりのエネルギッシュさは、子供から見ても羨ましい位である。
彼の名は境木 祥(ショウ)。まれに見る元気者で、ムードメーカータイプ。そしてイイ年こいて悪戯好きだ。
「相変わらず侑は動体視力だけは抜群だなぁ」
快活にカラカラ笑うと祥は侑の頭をぐしゃぐしゃ撫でる。
「『だけは』って酷くね」と侑はむくれた。「侑兄さんそのカオ可愛い…」とカイがうっとりし、傍らの慶弥は距離を取る。
「つか祥さん、こんなとこで何してんの。祭の準備は?サボリ?」
空は段々夕方の様相となっている。侑が疑問に思い訊くと「いや違う!散歩だ」と成人男は堂々として宣った。物は言いようである。
「というか、絶対俺たちの手伝いをアテにしてたんだよなこの人…」
慶弥が大人びた口調で呟くと、侑とカイは心から同意した。
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