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ある日の放課後
「そんじゃ俺はカイをこのまま家まで送ってくっから、お前らもいったん自分家帰って着替えてこいな」
祥が振り返ると「あ、俺は直接神社に行く。母さんもそこで待ってるって今朝言ってたし」と腕時計を確認した侑は応える。
「それより祥さん、ついでに慶弥も送ってやってよ。薫(カオル)さん出張中だし」
薫とは慶弥の父親だ。「そっか、そうだったな」と祥は思い出す。
「ついでにって何だよ」と慶弥が口を尖らせていると、おもむろにカイが彼に手を伸ばした。蚊の鳴くような声で告げる。
「け、慶弥…お願い…侑兄さんの…侑兄さんの勇姿を…撮って送って…何枚でも可…」
必死に訴える小学六年生。目には悔し涙まで浮かんでいる。「任せろカイ兄!」とほだされた慶弥はカイの細い指を強く握った。「いやそんなもん撮らんでいいから」と侑はバッサリと茶番を終わらせる。
「大丈夫、父ちゃんの高性能なデジカメも持ってくし」
「それは…ナイス…」
だが、実は終わってなかったようだ。そうして彼らと別れた直後に、後ろから小声で囁かれる内緒話が侑の耳に届く。
あの、聞こえてますよ。てか盗撮する気か。最近の小学生怖すぎる。
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