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ある日の放課後

「言葉遣い」 「すんません母さんじゃないですかお母様」 ぴしゃりとした母の物言いにも軽口を叩く――本人は割と真剣なのだが――我が子に、東雲は眉をひそめ腕を組む。 背が低くとも物凄い迫力だ。こそっと依那と夏目は後退りをする。 「アンタね手伝いは結構だけどそれならそれで連絡しなさいよココに母さんが居るの分かってるでしょもう実砂緒(ミサオ)さんも待ってるんだからね怒ってるわよ謝りなさいよちゃんとアンタが来なきゃ始まらないんだから分かってるでしょ何歳なのいい加減しっかりしなさい」 ここまでノンブレスである。言い切った東雲は「じゃ悪いけどこの子連れてくわ」と夏目夫妻を振り返り、目が合った二人は「あ、はい」と姿勢を正した。 がんばれゆう! ずるずると母に強制連行されていく中、口パクでそう激励してくる依那に侑はげんなりする。 そう、彼はこの後に行われる事が大嫌いなのだ。 「遅い!」 更に、境内の奥にある社務所に入った途端こう怒鳴られれば逃げたさマックスである。 東雲とはまた違う貫禄ある老体に、侑は「ゴメンナサイ」と棒読みで頭を下げた。 見事な白髪頭に和服の高齢の婦人は、この村の御意見番である。 彼女は結之 実砂緒。実は村長より力のある影の権力者だ。

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