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翌日

「うーす、邪魔するぞ~。それと客間に布団敷いてくれ。コイツ寝かすから」 「へ?」 挨拶もそこそこに、祥は半端の引き戸を全開にすると侑の横をするりと通り抜ける。 その背には、昨日のデジャブのように今度は慶弥が居た。目を閉じて、ぐったりしているように見える。 「え?け、慶弥?どうしたの!?」 「騒ぐな騒ぐな。だーいじょうぶだよ、眠ってるだけだ。ただの寝不足だよ」 カイに続き体調を崩したのかと焦った侑を大人は諭す。靴を脱ぎ無遠慮に玄関を上がる祥の後ろを、控えめに会釈しつつ瑠璃が続く。 侑は困惑しながらも走って二人を追い抜き先に客間を目指した。何度も我が家を訪れている祥たちに案内は不要だ。 「よーいせっと」 侑によって用意された布団の上に、ぞんざいに扱われた慶弥が転がる。性格とは分かっているが、もうちょっと優しく出来ないもんだろうか。 まあ、それは置いといて。「じゃな~」と踵を返して帰ろうとする奇襲客人を止める。 「ちょ、放置!?説明くらいしてってよ祥さん!」 慌てる侑に夫婦二人は顔を見合わせると、祥は「お前、もしかして東雲さんから何も聞いてねえの?」と問う。 実際に何も聞いてない侑は頷く。とりあえず意味不明な東雲の置き手紙を見せると祥は頭を掻いた。

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