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呉越同舟
「いえ熊を倒したい気持ちは分かりますよ痛いほど!侑兄さんのお姿がごっそり撮られたデジカメを持って行った憎き輩!許されるなら僕の武器で奴の弱点を」
いきなり熱弁を振るうカイは、ヤバイ事まで喋ろうとしたので慌ててその口を手で塞いだ。
件の武器は結之村だけの秘密である。幸運にも他に乗客はおらず運転手にも聞こえていないようだ。
興奮すると我を忘れがちなカイは「す、すみません」と小声で詫びる。侑は嘆息した。
「あーのーなぁ、だから退治目的じゃないんだって」
「な、なら…なぜ調べてるんです?」
もっともな質問だ。侑は言っていいものか迷うものの、しかしカイは頭脳明晰である。テストは毎回ほぼ満点らしく、中間期末の度に東雲に渋い顔をされる立場にしてみれば羨ましい話だった。
生憎この本には侑の知りたい情報が載ってなさそうなので、これだけ訊いてみる。
「…野生動物って、スナック菓子食うと思うか?」
年上の問いにカイはキョトンとする。よほど思いがけなかったようで「は?え」と戸惑っている。
「そりゃ…食べるんじゃないですか?食べ物ですし」
「でもさ、動物って鼻が利くじゃん。添加物とか香辛料がタップリ入ったのを簡単に食うもんなのかな。畑も荒らさずにさ」
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