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適性
――あーもう、やめやめ
なんだか自分でも何故こんなに調べてるのか分からなくなってきた。
馬鹿馬鹿しい気すらする。日が経っているからかもしれない。侑は数日執着した事柄を易々と放棄した。
「あ、そうだった。境木ちゃん起きろ」
「聞こえません」
「聞こえてんじゃん。これ平野(ヒラノ)っちに頼まれた。境木ちゃんから結之に渡してくれだと」
頭上から軽いカサカサしたものが落ちてきて、くさっていた侑は渋々顔を上げた。手を伸ばして髪に乗っかっているそれを面倒そうに確かめる。
今朝ホームルームで配られた授業参観についてのプリントであり、付け加えると『平野っち』とは彼らの担任のアダ名である。「まじ平野っち職務怠慢」「だな。今日職員会議らしいけど」と教え子は言いたい放題だ。
「ま、いーんじゃ?家近くな上に幼馴染みなんっしょ、ついでに遊んだらいいじゃん。そんで結之のケータイであいつの写真撮って送って」
「へ?なんで?」
「学校来なすぎでどんな顔だったか忘れた」
結之――ナギのことだーーは一年の時から不登校気味だ。「ナギが嫌がんなかったらね」と、たぶん嫌がるだろうなと思いつつ侑は引き受けた。
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