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適性

「ちょちょちょ、依那さん落ち着いてよ。壊れたって?動かないの?」 ともかく状況を正しく把握したい侑は依那を引き剥がす。 このへん動揺しているが、幸か不幸かお互い自分の事で一杯一杯だ。「うん、動かない…ご臨終」と依那は肩を落とす。 「バイトしてやっと買ったのに…なっつんも『良かったね』って喜んでくれてたのに…」 依那は普段明るい性格だ。 しかし、涙もろい一面もある。さめざめ涙し始める彼女を侑は精一杯元気付けた。 「諦めちゃダメだよ依那さん、らしくないよ!まだ買ったばっかじゃん、ちょっと調子が悪いだけだよ!」 男性は女性の涙に弱いと言うがその通りかもしれない。謎の使命感を抱いた侑は「俺が見てみるよ!」と無駄な青春オーラを振り撒いた。 後で冷静に考えたら悶絶ものだろう。ノリとは恐ろしいものだ。 「エンジンかな…確か雑誌には…と」 侑は以前クラスメイトに見せてもらったバイク雑誌の記事を思い起こす。 彼は特にバイクに関心があるわけではないが、世の大半の中学生男子は少なからず興味があるものだ。『へぇ、こんな作りなんだ~』と内部構造を知るのは楽しい。 侑は記憶を頼りにトラブル箇所をチェックしようとバイクに触れると、依那がよく見えるように携帯のライトを当ててくれた。

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