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第一章・出会い。(2)
男は我慢の限界に達したのだろう。自らの肉棒を戒めるジッパーを引き下ろした。肉棒は解放された悦びをあらわにして勢いよく飛び出す。赤黒く変色し、血管が浮き出ている。亀頭からは先走りの雫でじっとりと濡れていた。
今夜の獲物は上玉だ。アマデウスは細い指先で男の肉棒を伝う雫を絡め、魅惑的な唇からちろりと出した赤い舌で男の雫を舐め取ってみせる。そのなんともいえない艶やかな仕草が男を焦らす。
男は呻りながら、アマデウスの胸に乗っている赤い蕾のひとつを口に含み、貪る。ころころと舌で転がし、あるいは吸い上げ、甘く噛む。
この行為がたまらないほど甘美だ。胸の蕾から生まれる甘い痺れが頭の天辺から爪先まで全身を駆け巡る。アマデウスは、ほうっと甘やかなため息を漏らした。
骨張ったその手がアマデウスの背をなぞる。男の手は尾てい骨を通り、魅惑的な後孔へと忍ばせていく。
男の指が円を描きながら後孔を広げていく。
アマデウスはいよいよだと太腿を開き、昂ぶっている肉棒を招き入れる。待ち望んでいた極上の快楽を味わうため、真紅の目を閉ざした。
男の逞しい身体が華奢な肢体を押し倒す。熱の隠った荒い息が頬に降りかかる。
肉棒の切っ先が後孔に触れた。その時だ。アマデウスはふいに身体が軽くなるのを感じて目を凝らした。
目前に男の姿はない。
代わりに存在しているそれはこの世のものではなかった。
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