11 / 209
第一章・仇為す者に死を。(4)
あたかも自分のことなんて存在していないかのように無視を決め込んだ、あの紛い物。
これまで、アマデウスは戦闘においてもどんな悪魔にだって負けた事が無かった。悪魔界の王の血を受け継ぎ、母と同じ淫魔として生を受けた彼は類い希な魔力と洗礼された美を持っていた――。
それなのに、悪魔王の血を引く自分が紛い物ごときに気絶させられ、挙げ句の果てに生かされるとは――。
これは強者を誇るアマデウスにとって屈辱以外の何ものでもない。
腹癒せも含めて欲求不満のこの人間を今夜の食事にしようとしたものの、少しも美味いと感じない。
あの紛い物が歯を食いしばり、苦痛に満ちた姿を見ることができたならば――。
この手で奴を屠ることができたならば――。
自分に仇なす愚かな者には死を――。
アマデウスが決意すると、ようやく満腹感がやって来た。これで最後だといわんばかりに咥えている肉棒を肉壁で締め付けてやる。深く沈められている肉棒は勢いよく吐精し、腹部に溜まっていく。
アマデウスは唾液で濡れそぼった赤い唇を舌でなぞり、にやりと笑みを浮かべた。
ともだちにシェアしよう!