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Ⅰ【出逢い編】(19)

 しかし今は淫魔に構っている暇はない。今、ここで邪魔をされてはようやく判りかけていた悪魔活発化の謎を追うことができない。ライオネルは舌打ちをする。  すると案の定、ライオネルの存在が気付かれてしまった。白の祭服を着た男が背を向け去っていく。 「待て!」  ライオネルは素早く淫魔の刃を払い除けると祭服の男を追う。しかし行く手は巨大な蛇の姿をした悪魔に阻まれた。蛇のような、『それ』は大きな口を開け、鋭い歯を剥き出しにして威嚇する。耳を劈くほどの鋭く高い鳴き声は大地を振るわせる。祭服の男に飲まされた液体でより大きく変化した魔力は体内から剥き出しになり、禍々しい瘴気となって蜷局を巻く。 「こいつは――パーシング・サーペント」  その様を目にした淫魔はぽつりと呟いた。  ――突き刺す蛇(パーシング・サーペント)  たしかそのふたつ名は聞いたことがある。レヴィアサンと呼ばれる悪魔ではなかったか。  しかしその悪魔はかなりの強者で、この世界とは別次元の悪魔界に存在している筈だ。  遙か古の時代。天界神、悪魔神らはそれぞれ、天界、悪魔界、人間界という三つの世界を造り上げた。そしてそれぞれが干渉し合うことのないよう契約を交わした――。もし、彼の悪魔が人間界にやって来ようものなら、人間界、天界、悪魔界の均衡は乱れ、宇宙そのものが破滅へと向かう。  何者かは判らないが、世界の均衡を壊そうとしている輩がいる。それは少なくとも、ライオネルが先ほど目撃した、祭服の男が関わっているに違いない。

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