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第一章・魅了する肉体。(12)

 赤い蕾を指の腹で転がしてやると、ツンと尖り、もっと触ってほしいと言わんばかりに胸の上で自己主張する。  ライオネルが自らの舌を伸ばして淫魔の口内へ侵入を果たすと、その先にある赤い舌を捉えた。  舌体そのものを確かめるようになぞってやれば、淫魔の身体が小さく震えたのを見逃さない。太腿の間にねじ込んだ太腿を上下に動かし、下肢に擦りつける。  淫魔は頬を朱に染め、甘く喘いだ。最早、彼の思考にあるのはライオネルの命を奪うことではない。快楽を感じ、精気を味わうことにある。  悩ましげな淫魔の甘い声を聞く度に耳孔を刺激されるからたまらない。  常にへの字に曲げているライオネルの口元が緩んだ。  二人は口角を変えて執拗に舌を絡め取る。飲み込めなくなった唾液は赤い唇の端を伝い、零れ落ちていく……。  ライオネルは唇を使ってその蜜を追う。  性欲を掻き乱す魅惑的な香りがライオネルの思考を鈍らせる。薄い唇で首筋をなぞり、緩やかなS字を描く鎖骨を食めば、じんわりと赤い痣が花開く。淫魔はいっそう艶やかな声を上げて肢体の曲線美を作った。  もっとほしいと鼻のかかった声がこの先を催促する。  淫魔自らも腰をくねらせ、その下肢をライオネルの太腿に擦りつけた。  ライオネルは鋭い犬歯を剥き出しにして、淫魔が着ているチュニックを引き裂く。勢いよくボタンが弾け飛び、地面に転がる。  露わになった胸には自ら強調している蕾を口に含み、甘噛みしながら吸い上げてやる。

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