36 / 83

Ⅱ【再会編】(10)

 ニヴィアと別れてどれくらいの時間が経っただろう。入り組んだ路地の石畳を歩く中、丁度死角になったところでシンクレアが動いた。白猫へと姿を変える。紛れもなくあれが彼女が実態化した姿だ。こうして彼女は神々の目となり、耳となって情報を得るため、日々動いているのだ。  しかし実態化したのがいけなかった。祭服の男もまた、シンクレアの尾行に気が付いていたようだ。  アマデウスが祭服の男の力の気質を探ったところによると、彼はどこにでもいる一般人(ユマン)だ。――ということは、余程後ろ暗い所があるのか、周囲に注意を払っているようだ。やはり彼――あるいは彼らには探られて痛い腹でもあるようだ。  祭服の男は白猫シンクレアの首根っこをひょいと掴んで持ち上げると、左右に折れる路地を縫うようにして歩いて行く。捕らわれた腕の中でシンクレアのか細い声が聞こえる。男の腕に噛み付いたり引っ掻いたりして抵抗するものの、彼は痛みを感じないのかびくともしない。  シンクレアの二の舞になってはまずい。アマデウスは引き続き、細心の注意を払って男の後を追った。  ――どれほどの距離を歩いただろう。さらに歩けば傾斜がかった一本道に変わる。赤や青といった色とりどりの屋根が連なっていた街並みはやがて少しずつ減り、緑が目立ってきた。塀が消え、大振りな木々が視界に広がる。すると教会の大門が見えた。

ともだちにシェアしよう!

この小説を読んだ人におすすめの作品

今日、悪魔のしもべができました
110リアクション
10話 / 40,607文字 / 197
2017/4/27 更新
おそ松はある時期になると体を壊す。それはある男へのトラウマのせいだがーー…。
1リアクション
1話 / 4,373文字 / 19
2017/11/15 更新
借金のカタに飼われた会社員と御曹司のお話。
474リアクション
44話 / 45,152文字
2018/5/13 更新
早河 命はあの日別れた佐々城 諒に切ない片想いをしている。
1リアクション
13話 / 8,026文字 / 36
2/14 更新
天然ドS × ツンデレわんこ
1,725リアクション
200話 / 130,198文字 / 220
9時間前 更新
「夜の夢を憶えているのは」後半の7つのお話。会社の同期、僕(上野くん)とキシのお話。
3リアクション
7話 / 70,275文字 / 0
10/1 更新