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第二章・実は仲が良い。(4)
「ライオネル、アンタが見た悪魔と一緒にいたって言うてた例の祭服の男。どういう輩かわかったで。グリゴリ教団や。最近できたばかりの教団らしいんやけどな、そこに『祈ればたちまち祈りは神に通じる』とかで人間に人気があるみたいやな」
続けて彼女は淡々とした口調でそう言った。
「それはそうだろう。グリゴリ教団にはサタン直轄の部下、ベルゼブルも絡んでいるんだ。奴は天界で言うなら上級三隊熾天使 を指導する立場だ。気を抜けば殺 られるだろう油断ならない相手だ」
シンクレアに続いたのは、今まさにライオネルが疑問を持つ人物だった。彼は唇の端をつり上げ、憎々しげにこちらを見る。
彼は先日ひょんなことからライオネルと衝突している淫魔だ。
おかしなことに淫魔はシンクレアと共にいる。そしてこちらに敵意はあるものの、何故か以前とは違い、攻撃を仕掛けて来ない。これはいったいどういうことだろうか。眉間に刻まれている皺がますます深くなる。ライオネルが思考していると、淫魔はふんと鼻を鳴らし、そっぽを向いた。食事を邪魔されたことが未だ腹に据えかねているのか、はたまた悪魔ではない紛い物の自分がこの場にいるのが気に入らないからか、いずれにせよ彼はとことんまでライオネルが気に入らないらしい。
「どうもきな臭いんやな、これが。もうちょっと調べるから時間貰うわ。アマデウス、忠告ありがとな。十分気い付けるわ――そういうことやから、ライオネル、今夜も食事がてら悪さしてる悪魔達の撲滅を頼むわ」
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