47 / 83

Ⅱ【再会編】(21)

 (3)  季節は哀愁漂う秋から冬へ移り変わり始めている。街は徐々に華やぎ、建造物やもみの木は色とりどりのイルミネーションで彩られる。その中を腕を組んだカップル達が楽しげに行き来していた。  その中で、ライオネルは人々の活力を求めて歩いていた。人々の視線がこちらに釘付けだ。それもその筈、屋敷を出たライオネルの傍らには淫魔もいるのだから。淫魔は何もしなくともそこに存在する、ただそれだけで惑的する力がある。  そしてライオネル自身もまた、長身で引き締まった肉体を持っていて、ハンサムだということは理解している。それに加えて淫魔もいるおかげで視線を集められるのはいい兆候だ。こちら側から意識的に活力を奪うまでもなく、簡単に吸い上げることが可能になるのだから。  淫魔の魅惑はライオネルにとって邪魔にもなるが、時としてそれを有効に扱える。要はライオネルの自我が保てることさえできれば、彼の力に屈することはない。――とはいえ、淫魔の魅惑術は恐ろしく、気を抜けばたちまち堕ちてしまう。そしてライオネルは彼の誘惑から背を向けたあの日から、拷問の日々を送っている事も事実だった。  ――異性であっても同性であっても、ライオネルの容姿に惹かれ、彼らは常に言い寄って来る。たしかに、人間だった頃もライオネルにとって性行為は殆どなかった。ただ単に彼にとって惹かれる相手がいなかったからだ。しかしライオネルは紛い物(ヴァンパイア)に成り果ててからは一層、そういう行為に目を向けないようにしていた。

ともだちにシェアしよう!

この小説を読んだ人におすすめの作品

【同級生/プロサッカー選手×花屋店員】「性教育はコッソリと」スピンオフ。
9リアクション
11話 / 9,824文字 / 0
5/31 更新
ハロウィンの夜、仮装パーティー帰りに1人で歩いていた俺は謎の人物に話かけられて
189リアクション
9話 / 7,681文字 / 321
2018/10/31 更新
売り専のバイトへ出掛けたユウに与えられた今夜のお題は不思議なもので、客もまた不思議だった。
11リアクション
1話 / 6,648文字 / 53
5/31 更新
生徒と関係を持って逮捕された教師、ひきこもりの学生、その元親友の三角関係もの
1リアクション
13話 / 41,500文字 / 0
7/7 更新
同じ天体サークルの臼井と高橋は、ただの仲がいい友達だったはずが……。
7リアクション
1話 / 5,020文字 / 60
8/22 更新
美貌の侯爵α×記憶喪失のΩ【“運命の番”を巡るラブロマンス・サスペンス】
131リアクション
20話 / 34,307文字 / 39
10/30 更新