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第二章・Grigori (2)

しかしライオネルが紛い物(ヴァンパイア)に成り果ててからは違う。彼がヴァンパイアに変化させられてからというもの、食欲はさらに強まる。そして性的欲望もまた、食欲と比例して強くなった。こうしている間も、しなやかな肢体を抱きたくてたまらなくなる。己の雄という楔を貫き、肉塊に身を委ねるあの行為がたまらなく欲してしまう。だからこそ、彼は一層、性行為に目を向けないようにしていた。  それというのもライオネルは性的欲望を拒み続けねばならない理由があった。  ライオネルは活力吸血鬼(ヴィガーヴァンパイア)だ。万が一にでも性交渉をしてしまえば、自分の欲望が相手を支配してしまう可能性がある。つまり、自分もまた、相手をヴァンパイアに変えてしまう可能性があった。  ライオネルは父親と同じように自分の本能のままに生きることを最も恐れていた。  そのおかげでライオネルは聖人と化し、欲望を拒絶してきた。自我を保とうとすればするほど、淫魔の魅惑術に引っかかりそうになる。現に今、ライオネルの雄はスキニーパンツを押し上げ、細い肢体の隠された秘部へ埋め込みたいと叫んでいる。引き締まったヒップはライオネルの雄を咥え込み、どれほど締め付けてくれるのか。そして彼はどんなに甘い声を上げるのだろうか。  ――それにしても、淫魔が何故自分と行動を共にしているのだろうかと、ライオネルは考える。

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