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第三章・三人の王子を殺害した犯人。(4)

「いいや、おれの単独だ。両親は何も知らない。だが、両親がすべてを知ったその後は、良くやったとお褒め下さるだろう。おれをお認めくださる日も近い! 何故父上は後から生まれたというただそれだけで王位を退かねばならない? おれたち一家が日陰を歩まねばならない? 悪魔王としての力は父上だって十分にあるのに……。だから誓ったんだ。おれが君のお父上の座を譲り受けることにしようと……。――だが、君の兄上達がおれの思惑を察知してね。色々嗅ぎ回ってくれた。目障り極まりなかったよ」 「だから殺したというのか、ふざけるな! ぼくはお前のものになる気はないし、悪魔界の王にもさせる気もない!」  ――ああ、兄達はベルゼブルの脅威を感じ取ったために殺されたのだ。  全ては悪魔界の未来を守るため――。  そして弟である自分を守るために――。  生前、兄達はよく『ベルゼブルのことは任せろ。お前が気にするまでもない』そう言ってくれていたのを思い出す。  もっと兄達の身を案じていれば良かった。もっとベルゼブルを危険視するべきだった……。  アマデウスはきつく唇を噛みしめた。  後悔の念が後を絶たない。アマデウスから生まれた罪悪感は鋭く冷たい氷となり、自らの胸に深く突き刺さる。 「そうかな? おれはより強力な力を手に入れた。君では勝てないよ」  自分の欲望をさらけ出したベルゼブルは、アマデウスへと一歩、また一歩と距離を縮めてくる。

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