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第三章・欲望と理性の狭間で。(4)
それができるのは上級魔族だ。
ということは、相手はベルゼブルだろうか。
こうしてライオネルが思考している間にも二体の像は迎撃してくる。攻撃はまるで雷のように素早い。
ライオネルは鎧さえも打ち砕くことのできるジャマダハルを手にするが、何分相手の方が素早さは上だった。一方の剣による追撃をなんとか避けたとしても、もう一方の槍がライオネルを貫かんと向かってくる。
ライオネルは背に備えてあった大剣を抜き、刀身で槍を受ける。ともなれば、次に攻撃を仕掛けてくるのは剣を持った青銅像だ。
ライオネルは舌打ちする。
追撃を避けるため、後方へと跳ぶが、遅かった。大剣が腹部へと斬り込む。すんでの所で身を躱 し、コートが餌食になったところで剣による攻撃は防げたが、何時までも接戦を繰り返せばライオネルの体力が持たない。
なにせ相手は像。あれらには疲労という言葉は存在しない。
しかし、攻略法はある。裏を返せばこの二体の像は器であって魂そのものがないということだ。起動するには魔力を注ぎ込む核 が必要になる。ともすれば、解決方法はただひとつ。青銅像の中にある核を探し出し壊すまでだ。
ライオネルはそれぞれ両の手にリボルバーを握る。二体の攻撃をなんとかすれすれで躱しながら距離を保ち、ヴァンパイア特有の嗅覚と視覚を使って核を探す。
それは何回目の追撃を避けた時だろう。青銅像から青白く光るエネルギー体を発見した。
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