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第四章・思いがけない再会。(1)

 (二)  ――見張りがいない巨大な門はひとりでに軋みを上げる。  二頭の馬のおかげでいくらもかからずに辿り着いた。目の前に高くそびえ立つ立派な城はルジャウダ城だ。  アマデウスは平然と澄ました顔で隣にいる男の様子を横目で確認した。  ――彼はアマデウスが悪魔界の王子だということを知らない。  もし、万が一にでも彼の子を孕んだとしたならば――。  王はこの男にどんな恐ろしい処罰を下すのか。  そしてアマデウスの立場を知った時、果たして彼はどんな表情を見せるだろうか。  冷静な態度を取っていられるのも精々今のうちだ。  おそらくは事実に驚愕し、恐れおののくだろう。尻尾を巻いて逃げるかもしれない。  そう思って(ここ)までやって来たのだが――。  彼は何を思っているのか。表情ひとつ変えず、平然と立っている。  そこに恐れや不安は一切感じ取れなかった。 「――――」  ――もしかするとこの男。アマデウスが城に遣える兵士(メスニエ)か城の切り盛りをする家令(スチュワード)か何かだとでも思っているのだろうか。――だとすると、とんだ間抜けな紛い物だ。  真実を知ったらこの男、顔色は青く染まり、冷や汗を掻くことだろう。  アマデウスは門の先にある城を見据えた。 「ようこそ、悪魔城へお越し下さいました。私は主の妻、ニヴィアです。私のアムを無事、手元に連れ帰っていただいて嬉しく思います」  ――それは門を少し過ぎた先。  アマデウスと同じブロンドの髪を持つ美しい女性が立っていた。

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