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第四章・思いがけない再会。(2)

 星屑を散りばめたようなしっとりとした生地のドレスを肌にぴったりと纏わり付かせている。豊満な胸と華奢な腰。丸みを帯びたヒップ。女性らしいしなやかな肢体はどんな男性をも虜にする。  ニヴィアはライオネルに向けて薔薇の花を思わせる蠱惑的な唇で微笑を作り、小さく一礼した。  そして改めてライオネルと、そしてアマデウスを交互に見た瞬間、彼女の翡翠の目が大きく見開いたのをアマデウスは見逃さなかった。  ニヴィアのその表情は驚愕。ただそれのみ。悲しみとも怒りとも違っていた。 「アム……貴方……」  寄越した彼女の表情全てが物語る。  ニヴィアはアマデウスがライオネルに抱かれたのを察知したのだ。  たったひと目、目にしただけでもそんなに自分のコンディションが違うのだろうか。アマデウスは顔を(しか)めた。 「――――」  たしかに腹は満たされているし、魔力もみなぎっている。肌の艶もあるだろう。今のアマデウスの体調は至って良好だ。  流石はアマデウスと同じ婬魔。  ニヴィアには勝てない。アマデウスは苦笑を漏らした。  ――さて、ニヴィアはアマデウスの母で王の妻だと名乗った。これでこの男はアマデウスの素性を知ったことになる。  アマデウスは常に澄ました顔をしている隣の男が気になり視線を向ける。しかし彼はそれさえも予測していたかのようだった。驚く素振りは微塵(みじん)もない。 「ライオネル・フォンテーンと申します」

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