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第四章・思いがけない再会。(3)

 彼は表情一つ変えず、胸に手を当て、腰を折る。ニヴィアに向かって深々と一礼をした。あたかもそれが当たり前であるかのように――。  驚いたのはアマデウスの方だった。  果たしてこの男――ライオネル・フォンテーンはアマデウスの立場さえも理解しているというのか。  まさか、王から体罰を受けるかも知れないすべてを覚悟の上で、自分を抱いたというのか。そのことが、アマデウスには俄には信じ難いことだった。 「彼、ルジャウダに似ているわね」  彼女は隣を歩くアマデウスにそっと耳打ちをした。 「そう?」 「ええ。雰囲気もそっくりだと思うわ」  三人の足音が石畳に響き、静寂の空間を埋める。先に進めば進むほど冴えていく空気が頬を掠める。  ルジャウダ王の謁見の間へ向かう途中の長い回廊で、ニヴィアが品定めをするようにライオネルを見ている。  そして彼女は続けてこう口にする。 「彼ならきっと貴方を大切にしてくれるわね」と――。  ニヴィアはいったいこの男のどこを見て、父ルジャウダに似ていると思ったのだろうか。そして何故、自分を大切にしてくれると核心を持てるのだろうか。 「――――」  ――たしかに腰まである髪は父親と同じ漆黒ではある。しかし真っ直ぐではない。肉体だって父ルジャウダの方がこの男よりもずっと鋼のように強靱だ。目だって上質な王たる気質を持った漆黒で、けっしてブルームーンなんかではない。第一、ルジャウダは魔力も強く、王として国を守る威厳と強さがある。

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