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第四章・思いがけない再会。(4)

 ――ところがこの男ときたらどうだろう。何時も傲慢で自分本位。にこりとも笑わない。  ――いや、笑ったところは見たことがある。アマデウスは不覚にも見惚れてしまったし胸が高鳴った。  しかし、である。彼は紛い物(ヴァンパイア)だ。ヴァンパイアは悪魔を真似て創られた、太陽さえも拝めない存在である。そんな出来損ないが絶対的強さを誇る父ルジャウダに似ている筈もない。  そして自分はけっしてこんな紛い物に大切にして貰おうとも微塵にも思っていない。  アマデウスがニヴィアに反論しようと口を開けたものの、目前にある巨大な両手扉が重々しい音を立てて開いたのだからそれっきり何も言えず、すぐに口を閉じた。  ――ここは城の中枢部。開けた視界の先に広がるのは真紅のビロードと象牙色の空間だ。  そこに立派な玉座があった。玉座に座しているのは威厳に満ち溢れたアマデウスの父、ルジャウダだ。  逞しい肉体は鋼の鎧を纏い、漆黒の艶やかな長髪は夜の帳のようだ。  鷹のような鋭い目は全てを見透かす闇色をしている。鼻は高く、その下にある唇は引き結ばれている。いかにも悪魔界の王に相応しい。  ――それだけではない。ルジャウダ王は絶対的存在の天界神ウラノスにも匹敵する魔力を持っている。彼はこの世界の均衡を守っていた。 「良く来てくれた。私がこの悪魔国を治める、ルジャウダだ」  分厚い唇を開き、地響きにも似た声音で王は話す。

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