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第四章・思いがけない再会。(5)
「初めてお目にかかりますルジャウダ王。ライオネル・フォンテーンと申します」
ライオネルはやはりニヴィアの時と同様顔色一つ変えない。王と対面するなり膝を立て、深々と頭を下げた。そこには慇懃無礼 さなど欠片も感じない。彼は礼節を重んじるひとりの騎士だった。
――これまでの所作からは考えられない。
ライオネルの姿にまたもや驚いたのはアマデウスの方だ。アマデウスはてっきりライオネルは乱暴な振る舞いで王と対面するだろうと決め込んでいたからだ。
――いや、彼の態度に驚いたのはアマデウスだけではない。ルジャウダも同じだったようだ。しかし王が驚いたのはライオネルの立ち振る舞いではない。ライオネルの名だった。
「フォンテーン……それは……」
「ライ、オネル……ライオネルなの?」
王が口にすると、背後にあるカーテンから一人の女性が飛び出してきた。深緑のドレスを纏 った彼女は腰まである波打つブロンドを揺らしながら、迷わずにライオネルへと駆けていく。
「コルベル……何故ここに」
彼女の登場により、ようやく顔色を変えたライオネルは震える声で尋ねた。
「三年前だったわ。父に見つかって逃げていたところ、悪魔と居合わせてしまって殺されそうになったの。その時にアマデウス王子に助けていただいて、以来こちらでお世話になっていたの」
彼女の華奢な腰に逞しい腕が回る。
アマデウスはただただ目の前で抱きしめ合う二人の姿を見つめるしかできない。
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