16 / 209

第一章・侵入者。(5)

 しかしそれは淫魔も同じだったようだ。彼は小さく呻き、手にしていた剣が落ちたのだろう、鈍い音を耳にした。  ライオネルは瞬時に生まれ出た鈍い音を頼りに近づき、細い両腕を掴む。淫魔の拘束に成功した。  それでも諦めの悪い淫魔はなんとかライオネルの拘束を逃れようと地を蹴り、攻撃を仕掛けてくる。しかしライオネルはこれまで悪魔との過酷な戦いを切り抜けてきた。軽々と淫魔を後ろ手に拘束し、手近にあった縄で縛り上げた。

ともだちにシェアしよう!