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第四章・思いがけない再会。(8)

 どうやらルジャウダはアマデウスが悪魔界に戻ったことの意味を理解しているようだ。  夫ルジャウダの隣に座したニヴィアは心配そうにアマデウスの様子を窺っている。 「はい、父上。実は……」  主犯者はベルゼブルだ。兄達を殺し、さらにはこの悪魔界も手に入れようと企んでいる。  そう言いかけた時、甲高い耳鳴りがアマデウスの脳内に響き渡る。視界がほんの一瞬にしてモザイクに包まれ、黒に塗り替えられた。  逞しい腕がアマデウスへと伸びる。  気が付けば、アマデウスはライオネルの腕の中に包まれていた。 「――――」  ――どうやら自分は目眩(めまい)を起こしてしまったらしい。 「どうしたアマデウス」  ルジャウダの声が聞こえる。その不安と悲しみが入り交じった地響きのような低い声は悪魔界の王としてではない。我が子を案じる父親としてのものだった。 「貴方! アムは……」  ニヴィアがルジャウダに耳打ちすると、気難しい顔をしてからその漆黒の目にライオネルとアマデウスを写し、静かに頷いた。  アマデウスは瞬時に母が父に何を告げたのかを理解した。  おそらくニヴィアはルジャウダに自分がライオネルに抱かれたことを耳打ちしたに違いないのだ。  アマデウスはきつく唇を噛みしめた。 「アマデウス、どうやらお前には休息が必要らしい。体力が戻り次第、ゆっくり話を聞こう」 「しかし、父上!!」  ライオネルの胸を押し退け、逞しい腕から離れようとするものの、身体はまるで鉛のようだ。全重力が自分一人にのし掛かっているかのような重さを感じる。

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