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第四章・王の弟。(3)
ニヴィアは同じ淫魔であるアマデウスの身体の状況を瞬時に見抜けてしまう能力を持っている。ニヴィアの診断によれば、どうやらアマデウスはライオネルの子を孕んではいないらしい。
――それなのに、彼はアマデウスを気遣うその素振りを止めない。
「――――」
先ほどまではたしかにあった肌寒さはもうない。
身体が熱い。彼の手が乗っている両肩から熱が生まれる。
おかしい。
あまりにも自分の態度がおかしすぎる。
ライオネルの側にいるだけなのに今朝からずっとこんな調子だ。
昨日、目眩を起こし、倒れてしまったあの時。不快なベルゼブルの姿が目蓋に焼き付き離れず、不覚にもこの紛い物の前で泣いてしまった時からだ。この男があまりにも紳士に接するものだから調子が狂った、だそれだけだ。
――きっとそうに違いない。
アマデウスは火照る身体に手を回し、そう言い聞かせた。
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