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第四章・談合。(1)

 (四) 「父上、母上。ベルゼブルがこの国を乗っ取ろうとしております」  早朝、アマデウスはルジャウダ王とニヴィア妃。そしてライオネルと共に一階の大広間の先にある小広間の円卓に着いていた。昨夜、体力の消耗が激しかったアマデウスが伝えたかった出来事。これを二人に説明する。そしてアマデウスは続けた。 「我が三人の兄上を殺害したのは、ベルゼブルです」  アマデウスの言葉に、ルジャウダ王は呻り声を上げた。アマデウスの話が信じられないのだ。  隣に座っているライオネルもまた、ぴくりと片方の眉を動かした。ルジャウダと同様、悪魔界きっての強い魔力を持つプリンス三人が殺されたことを信じられないのだろう。――が、彼もアマデウスと共に悪魔が凶悪化している現実を目の当たりにしている。だから彼は片方の眉を動かしただけに終わったのだろう。 「ギデオンは予の世継ぎ。魔力もベルゼブルの遙か上をいっていた。まさかベルゼブルに負けるなどとは――にわかには信じられん」  ルジャウダ王は信じられないとばかりに首を小刻みに振っている。 「人間界の悪魔達が凶悪化していることは既にお耳に入っているかと思いますが、脆弱な悪魔が我が国の突き刺す蛇(パーシング・サーペント)に酷似したものへと変化したのをこの目で見ました」  これまで平静にアマデウスの話を聞いていたルジャウダ王だが、彼の息を呑む音が聞こえた。同時に緊迫した空気が周囲を包み込んだ。

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