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第四章・談合。(4)

 途端にアマデウスの心臓が大きく跳ねる。何故だろう、アマデウスは優しいブルームーンの目に釘付けになってしまった。 (目を逸らせない。いったいぼくはどうしてしまったんだろう)  冷えた身体が徐々に熱を帯びていくのがわかる。息遣いさえも彼の手から伝わってくるようだ。  ――ああ、この吐息ごと自分の口で塞いでみたい。彼との口づけを思い出したアマデウスの身体が熱くなっていく。  咳払いする王を合図に、アマデウスは我に返った。 「とにかく、我が弟ヴォルムに会わねばならぬ。ヴォルムの子ベルゼブルの企みを知っているのかどうかを知る必要がある。一刻も早く、だ」  王の言葉は、しかしアマデウスの左耳から右耳に通り抜けていくだけだった。   果たして自分は何を考えていたのだろう。アマデウスは急に羞恥に襲われた。顔が熱い。アマデウスは顔を俯ける。だから我が子を見ていたニヴィアの唇には笑みが広がっていたことに気づかなかった。

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