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最終章・王の涙。(1)
(四)
コルベルに促されアマデウスがライオネルを探している頃、一方ライオネルはルジャウダ王に呼び出されていた。
ここの大広間はやはり美しい。アーチ状の造形共に星屑が描かれたタペストリーもまた見る者の心を奪う。ライオネルは下座に跪き、大広間の景色に圧倒されていた。
「アマデウスが世話になった。其方がおらねば予の元には戻らぬ存在となっていたであろう」
ルジャウダ王は口を開いた。それは先日の対ベルゼブル戦のことだろうとライオネルは察した。
「いえ、わたしも同じです。王子がいらっしゃらなければ危うく命を落とすところでした」
頭を下げ、ルジャウダ王の足下で膝を突くライオネルの言葉に嘘偽りはない。ベルゼブルとの対決では本当に危うかった。照り付く太陽の下では何もできず、ただのたれ死ぬのを待つばかりだった。しかしアマデウスが影となり、自らの身を捧げ、瀕死だったライオネルの魂をこの世に留めてくれたからこそどうにか生き長らえたのだ。いや、そればかりではない。彼は妹を助け、悪魔城に匿ってくれた。何もかもが彼によって救われたのだ。思い知らされればその分だけ、彼への慕情は募るばかりだ。ライオネルの胸が熱くなる。
「うむ、それはベルゼブルとの争いのことだな」
――はい。ライオネルは短い返事をした後、続けた。
「ベルゼブルは人間のグリゴリ教アザゼル教皇と結託し、人間界から悪魔界、天界を支配するつもりだったようです。そのベルゼブルもアザゼルに殺害された今、敵はアザゼル一人に絞られます」
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