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第五章・敵対。(1)
(四)
ベルゼブルはひとしきり笑い終えると魅惑的な後孔から肉棒を引き抜いた。同時にアマデウスの身体が力なく床にひれ伏す。
ベルゼブルの精を受けた後孔はまるで粗相を漏らしたかのようだ。太陽光に照らされた白濁がてらてらとなまめかしく光っている。
「う~ん、流石は性に長けた淫魔だ。なかなかいい締まり具合だった」
ベルゼブルは舌なめずりをして欲望をスラックスの中に仕舞う。ジッパーを上げると眼鏡のフレームをくいっと押し上げ恍惚感に浸った。
入口の方へ視線を向けると、そこには怒りの炎を宿した新参者が立っていた。彼は漆黒のコートにフードを深々と被り、分厚い手袋とブーツ。スラックスを穿いている。
どうやら奴の体力はここへ来るまでにすっかり消耗したようだ。
いくら装備を完璧にしても無駄なこと。太陽の光をまともに受けて立っていられるヴァンパイアはまずいない。
(神のコマと成り果てた紛い物 ごとき、おれの敵ではない)
「やあ、待っていたよ、ライオネル・フォンテーン。おれはベルゼブルだ。キミがアマデウスを攫ったことは調べ上げたから知っている。折角、こいつを縛り上げてうんと可愛がって孕ませてやろうとしたっていうのにキミがおれの計画を台無しにした。まあでも、孕んでいなかったようで安心したよ」
ベルゼブルは新参者に一度にっこり微笑んでみせる。
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