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第五章・それでも傍に。(3)

 もし、コルベルの言ったことが本当ならば、自分が役に立つ。淫魔はヴァンパイアにとって特効薬らしいから……。  アマデウスは前に連なる幾数ものチュニックのボタンをひとつずつ外していく……。上半身からチュニックを抜き取ると、続いて下肢のスキニーパンツも下着ごと脱ぎ取った。  裸になったアマデウスは彼が眠る寝台に横たわる。手を伸ばし、包帯の上からそっと肌に触れる。分厚い胸板と引き締まった肉体。そして太腿の間にある雄々しい肉棒。 「野獣さん、どうかぼくを食べて……」  アマデウスは自らの身体を彼に捧げる。瀕死のライオネルは、まるで飢えた狼だ。全身から唸り声を放つと瀕死状態にもかかわらず恐ろしい力でアマデウスを押し倒した。鎖骨から胸の蕾へ――口づけを与えられて弓なる肢体。しかしそこに彼の意識はない。彼はただ本能のままに淫魔(アマデウス)を抱いているだけなのだ。  アマデウスはそれでもいいと思った。  ライオネルさえ無事、生きていけるならたとえ自分が利用されたとしても――。  肉奴隷でもかまわない。貴方の傍に自分を置いてくれるのなら……。  赤い目(ルビー・アイ)から一筋の涙が流れる。 (知らなかった。想われてもいない男性(ひと)に抱かれることがこんなに辛いなんて……こんなに苦しいなんて……)  ……本当は、肉奴隷になんてなりたくはない。けれど彼がそれを望むなら仕方のないことだ。アマデウスにとって、彼の傍にいる術はそれしかないのだから……。

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