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最終章・拒絶。(1)
(二)
「君はそういう抱かれ方が嫌いではなかったのか!」
彼は突き放すようにそう言った。
明らかにライオネルは不機嫌になっている。今や優しさの一欠片さえもない。眉間に刻まれた深い皺がすべてを物語っている。
一度は手に入れたと思っていたぬくもりが消えていく……。アマデウスはひどく混乱した。
それでもここで彼を失うわけにはいかない。アマデウスが必死になってライオネルに縋る。手を伸ばせば簡単に振り払われた。乾いた音が耳の端に残る。そうかと思えば扉が閉まる大きな音が部屋中に響き渡った。
アマデウスの話しさえも聞き入れず、彼は憤慨して部屋から出て行ってしまったのだ。
「ライオネル!」
声を上げて彼を呼んでも戻っては来ない。
何故、彼は怒ってしまったのだろう。つい先ほどまではたしかにライオネルは優しく、紳士的な男性だった。アマデウスの身体を気遣ってくれていたし、情熱的なキスもくれた。ブルームーンの目はアマデウスを欲しがり、瞳の奥には情熱の炎さえも垣間見えた。
それなのに――彼は自分の手を振り払い、去って行った。
彼の表情や態度が一変したのはアマデウスが口にした"肉奴隷" という言葉だ。しかし彼がそれで怒る理由が判らない。
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