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最終章・彼の真意。(3)

「兄さん、貴方のことを愛しているのね」 「――――」  果たして彼女はいったい何と言っただろうか。アマデウスの頭はますます混乱した。彼が自分を愛しているそんな筈はない。だって手を振り解き、自分の元から去ってしまったのだから――。反論するため口を開くアマデウスだが、コルベルは考え違いをしていると否定する。彼女は小さく首を振った。 「でも、だって……」  たしかに彼はアマデウスを振り払った。怒りを露わにして自分の前から消えた。だから自分は嫌われてしまったのだと思った。肉奴隷でなくして、彼の傍にいるのは困難だと思ったからだ。  しかし、である。たしかにアマデウスが、"肉奴隷でもいい" と発言する以前はとても優しかった。抱きしめてもくれた。コルベルの言うようにライオネルは本当に自分を愛してくれているのだろうか。彼女の見解が正しいのだとすれば、たしかに自分の発言は愚かに聞こえる。  アマデウスの胸にひとつの答えが浮かび上がる。 「まさか、もしかして――」  ライオネルは自分を食料だと言ったことに腹を立てた?  自分を大切にしないから?  そう思うとすべてに合点がいく。  "君はそういう抱かれ方が嫌いではなかったのか!" 彼のあの言葉もアマデウスを想ってのことだとすればどうだろう。  だから彼は急に腹を立たせて出て行ったのだ。 (ライオネルは、本当にぼくのことを――)  ライオネルが欲したのはアマデウスの肉体だけではない。心も欲していたのだとすれば、突然怒り出したこともすべて辻褄が合う。

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