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最終章・王の涙。(8)

 ライオネルはしっとりとした肌触りのいいブロンドを撫でた。 「だったらぼくも行く! 貴方と一緒に戦う」 「どういうことになるのか判っているのか? 命を落とす危険性もあるんだぞ?」 「貴方しかいらない。貴方がいない世界なんてぼくはいらない……」  ……なんて口説き文句だろう。ライオネルは小さく呻いた。アマデウスのこの言葉は真実だ。彼への愛おしさが増す。 「実に頼もしい限りだ」  ライオネルは敬意を(もっ)てアマデウスの手を掬い上げた。そっと手の甲に口づける。 「離れたくないんだライオネル。愛している」  アマデウスのすすり泣く声が聞こえる。しがみつくその腕の力は先ほどよりもずっと強い。 「おれもだよ、愛おしいアマデウス」  ライオネルはアマデウスを横抱きにすると、今朝二人が別れたばかりの部屋に向かった。

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