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最終章・決戦前夜。(1)

 (五) 「アマデウス、愛している」  愛おしい彼に愛を告げられ、一糸も纏わないアマデウスの身体がシーツの上に滑り込む。ライオネルは雄々しい唸り声を上げ、覆い被さってきた。  彼の薄い唇がアマデウスの口を貪る。アマデウスは広い背中に腕を回し、与えられたキスがより深くなるよう口角を変える。ざらついた舌が歯列をなぞり、赤い舌に絡みつく。アマデウスも負けじと彼の舌を味わい、貪る。波打つ黒髪に指を絡めれば、愛おしい彼に組み敷かれているという現実味が押し寄せ、アマデウスをいっそうの甘美へと誘う。  どちらからともなく唇がほんの少し離れる。離れた薄い唇からそっと愛を囁かれ、そしてまたアマデウスを貪るのだ。  アマデウスは身体の芯から熱が生まれるのを感じた。力強い引き締まった肩胛骨を細いその指でそっとなぞる。するとライオネルは再び唸り声を上げた。アマデウスの口から徐々に落ちていく彼の薄い唇は緩やかなS字になっている鎖骨を這い、肌を吸い上げながら下りていく。ライオネルの唇が乗った箇所には赤い花が散っていく……。  やがて下りた唇は両胸に取っている蕾のひとつを咥えた。蕾を舌で転がされ、あるいは吸われてしまえばツンと尖り、胸の上で強調する。もう一方の蕾もまた、剣ダコができたその骨張った指に摘まれた。  彼が与える愛撫のたびにアマデウスの身体は赤く色づき、甘い声を上げた。  華奢な身体がしなやかに反れると、それを合図にライオネルの薄い唇が落ちていく。脇腹から下腹部、そして太腿へとありとあらゆる場所に口づけられていく……。

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