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最終章・対決。(3)

 殺せ、殺せ! 人々は剣や斧を持ち、悪魔と群がりライオネルを見上げている。その目には怒りと恐怖が入り交じっていた。  ライオネルは腰にあったリボルバーを両の手に構え、トリガーを引いた。無論、滅ぼすのは悪魔であってアザゼルに洗脳されている人間ではない。銃弾は凄まじい音を立て、悪魔のことごとくを撃ち抜いていく。  翼ある悪魔がライオネルを囲む。ライオネルは教会の屋根を蹴り上げ空高く舞い、剣を構える。一閃を(もっ)て悪魔をいくらかを葬り去り、地へ降り立った。 「いい気になるなよ、小僧!」  おどろおどろしい声がしたかと思えば、白の衣に身を纏う人間の群れの中から老人が歩いてくる。一歩ずつ足を踏み入れる度に感じるのはおぞましい魔力だ。  ようやく黒幕登場といったところだろう。ライオネルは奥歯を噛み締めた。  禍々しい邪気が周囲に漂う。どうやら奴はとっくに新しい力をコントロールする術を身に着けたらしい。  ライオネルは剣のグリップを強く握ると、教皇目掛けて突っ込む。教皇はにたりと笑うと持っている木の杖で刀身を受け止めた。  しかし魔力はアマデウスの力を借りたライオネルの方が上だった。木の杖は簡単にへし折れる。そしてアザゼルの腹部へと切っ先が入り込んだ。  人々の周囲からは悲鳴と叫び声が轟いている。驚愕したのは彼らだけではない。ライオネルも同じだった。

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