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最終章・決着。(1)

 (八)  禍々しい魔力がこの都市全体を覆っている。人々が逃げ惑う喧噪の中、アマデウスはその場に立っていた。  逃げて来る人々の先を見据えれば、背には四つの漆黒の羽根を生やし、三つの蛇は鋭い牙を剥き出しにしてにたりと笑みを浮かべている、犀のような四肢を持つ巨体のがあった。アマデウスがやって来たその時にはライオネルは今にもの巨大な足に踏みつぶされようとしていた。  あれこそがベルゼブルの肉体を食らったアザゼル教皇の姿だろう。蛇の頭はおそらく七つあった筈だ。胴体に繋がった四つの蛇の頭は首の根元が切れたり垂れ下がっている。ライオネルが蛇の頭のことごとこくを消滅させたのだ。  そして彼は今、瀕死の状態だった。アマデウスが大好きなブルームーンの目は焦点が合っていない。白目を剥き出してしている。顔は蒼白し、口からは血液を垂れ流している。そして、肉体はアザゼルの毒を浴びて変色している。彼は限界を迎えているのだろう、あの巨体の全重心を足のひとつにかけられ、彼の骨が悲鳴を上げていた。彼がいる遠く離れたこの距離からでさえも、軋む骨の音が聞こえてくる。 「ライオネル!」 (ライオネルが死んでしまう!!)  アマデウスは地面に転がっていたライオネルが使っていた大剣の柄を握る。  "淫魔のお前に何ができるのか" 三つの蛇の頭をこちらへ向け、アザゼルはにたりと笑っている。

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