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最終章・白昼夢。(4)
ライオネルはゆっくり首を振った。
「君を愛人になんて望まない。……すまない。アマデウス、君を愛しているのは本心だ」
「だったら!」
何故自分を置いていったのかと彼は問い質したいのだとライオネルは思った。
「君を戦場に連れて行きたくなかった! 失う悲しみに堪えられなかった……おれは弱い。万が一にでもアザゼルに負けてしまえば君は、今度は奴の餌食になる。ベルゼブルの二の舞は御免だ。ならばいっそのこと、ルジャウダ王の側で守られている方がずっといい。もしおれが奴に止めを刺せなかった時、アザゼルが次に狙うのはこの悪魔界だ。ルジャウダ王に倒されてくれればそれで良かった」
アマデウスがあの醜くおぞましい教皇の手に渡ると想像しただけでも腹立たしい限りだ。この国にはルジャウダ王がいる。それがライオネルにとって唯一の救いだった。
「違う! 貴方は弱くない。誰よりも強く気高い、ぼくの騎士だ。それにぼくは……貴方の傍にいたい。片時も離れたくないんだ……」
"愛しているんだ" アマデウスはそう言うと、すすり泣いた。ライオネルの胸板に顔を埋めてむせび泣く。その泣き声はライオネルの胸を締め付けた。華奢な腰を包む腕に力が入る。泣きじゃくる彼を腕の中に仕舞い込んだ。
「頼む、愛おしい君 。泣かないでくれ。君が悲しむとおれの心が張り裂けそうに痛むんだ」
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