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最終章・夜明け。(2)
ライオネルは王と王妃がいる階段まで進み出ると跪いた。
「さて、皆には知っての通り、ベルゼブルが謀反を起こし、我が王子達が殺された。そして人間と手を組みこの宇宙すらも支配しようと企んだわけである」
ルジャウダ王の威厳に満ちた声が響く。その声音には悲しみや疲労さえ微塵もない。力強い一国の主としての姿だった。両手を広げ話すルジャウダに対し、民衆はざわついた。
「しかし、ここにいるライオネル・フォンテーンの手により悪しき目論見は消えた。もう我らを脅かす者はいない! この地は守られた!!」
ざわつきは消え、歓声が響く。
「其方の働きにより助けられた。見事だ。礼を言う」
夜の目がライオネルの姿を写す。
「恐れ多いことでございます」
ライオネルは頭を下げた。
「さて、其方に褒美を授けたいと思うのだが、受け取ってはくれまいか?」
「いいえ、それには及びません。わたしはわたしの任務を全うしただけですから」
「ほう? これを見てもそう言えるか? 出ておいで」
ルジャウダの言葉を引き金に、ニヴィアは背後にいる誰かを連れ添い、静かに階段を下りてくる。そしてライオネルのすぐ前に立った。顔を上げると、そこには白の衣服に包まれ、ヴェールを纏った赤い目 のブロンドの青年が立っているではないか。
ライオネルは驚きを隠せない。ただただ目の前にいる美しい青年を穴があくほど見つめるばかりだ。
「ぼくを、貴方の花嫁にしてほしい」
赤い唇がそっと開いた。
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