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第5話 いつもの二人③ ※
唾液の滑りを纏った指が入口に宛がわれる。
『待っ、ああっ ───!!』
慣らす事なく、含まされていく2本の指。
『昨日の夜にもやったせいか、柔らかいな』
和真の言うとおり昨夜の行為の影響で蕾は十分に解れている。2本の指をねじ込まれたそこは、柔軟に受け入れ、切れるような痛みは生まれていなかった。それでも突然挿し込まれた2本分の指の太さは苦しくて、狭い柔壁をこじ開けられる圧に亜樹が引き攣った嬌声を吐き出していく。
『やっ、待って、ゆっ……くり、にして……』
言いつけの通りに蕾を開いていた指が、震えと汗で滑ってしまいそうだった。
『ちゃんと開いてろ』
その声に、亜樹が額を和真の肩口へ押し付けて、臀部を掴む指先に力を込めた。
そのまま奥まで挿し込まれると思った2本の指が、比較的に浅い場所を弄っている。
そこは、挿入された指にして間接2つ分。
暴力的な快感で翻弄された覚えのあるその場所に、亜樹が泣きそうな顔を和真に向けた瞬間。
『─── ひっ、あぁっ、あっ、あぁぁッ!!』
前立腺を掠めた和真の指先に、亜樹の口から悲鳴のような嬌声が上がっていた。
『まだ腫れてて分かり易い。亜樹もいつもより気持ち良さそうだしな』
いつもより気持ち良いという事は、この後の時間がいつもよりも苦しく成るという事で。亜樹の手が思わず、蕾に挿入している和真の手を握り締める。
『手を離して、ちゃんと開いてろ』
『っやぁ、おね、が、い……そこ、は、さわら、ない、で……おね、がい……』
言いつけを破ってしまっている事は分かっていた。それでもどうにかこの場所だけは止めて欲しくて。和真の目を見つめながら震える声で繰り返し懇願する。
『亜樹』
だがあの諭すような声音で名前を呼ばれてしまえば、ダメだった。従わなかったとしても、和真が特別なペナルティを亜樹へ与える事はない。無理矢理に強要されているわけでもない。選ぶ事はできるのに、その声で名前を呼ばれただけで、亜樹には従う以外の選択肢が残されていなかった。
『ほら、泣くな。後からちゃんと相手をするから』
恐る恐る手を離し、元の位置へ戻した指先でもう1度蕾を開いていく。和真の言いつけが見えない鎖のように、その場所へ亜樹の両手を縛り付けていた。
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