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第6話 いつもの二人④ ※

(やっぱり最後まではくれないんだ……)  和真の『後から』という言葉に亜樹の目からはますます涙が溢れ出し、顔を埋めた和真の肩口を濡らしていく。 『泣くよりは、啼いてて欲しいんだけどな』  耳に聞こえてきたのは苦笑混じりの声だった。  そんな状況の中で、2本の指は膨らんだ前立腺を挟み込んで、揉み拉くように動いていく。 『ヒァッ、アアァッ、アァッ!!』  途端に亜樹の口から零れていた嬌声が、悲鳴染みた音になる。それでも手加減をする様子がない和真の指に、すぐに亜樹の身体は限界まで追い詰められた。 『ヒッ! アアアァァァァ───ッ!!』  頭の中が焼け切れそうになり、身体がそのまま硬直する。次の瞬間、一際大きな嬌声が亜樹の喉を割いていく。  白濁した物を吐き出さずにドライでイカされた身体は、ヒクヒクと和真の指を締め付ける。快感の波から降りられない今の亜樹には、その動きだけでも辛かった。それなのに。 『あと1回ぐらいなら大丈夫か?』  壁掛けの時計で残された時間を確認したのだろう。呟かれた言葉に亜樹の顔から血の気が引いていく。 『やぁっ、いま、いっ、た、ばかり───ッ!!』  ほんの少しの刺激さえも、身体は快楽だと受け止めていた。それなのに今は無理だと縋る言葉さえ、最後まで待ってはもらえなかった。  もう1度膨らみを揉み込まれて、堪えきれない嬌声に開ききった唇さえ、今度は和真の唇に覆われる。音すらも吸い取るように舌を絡められれば、呼吸さえも儘ならなかった。  酸欠の状態に追い込まれた身体はますます感じやすくなっていく。電流で内部を嬲られるような強い快感を受けた亜樹の身体が、2回目の絶頂を迎えてまた大きく跳ね上がった。 『亜樹、大丈夫か?』  後ろの快楽だけで連続でイカされた身体は、どこを触られてもひどく辛い。  だが含まされていた指先を引き抜かれ、もう終わりだと、体勢を入れ替えるようにクッションへ身体を横たえられれば。快感に煽られた身体を放置される苦しさに。 『や、っぁ…かず、ま…』  そのまま立ち上がった和真のズボンをとっさに掴んだ。 『亜樹』  まただった。 『今はこれ以上は時間がないから、また後でな』  諭すような声音で亜樹の名前を呼んだ唇に、わずかに苦笑が浮かんでいて。見下ろしていた和真が亜樹の頭をポンポンと叩いて宥めてくる。  そうなればもう、亜樹には何も言えなかった。 『良い子だ』  身体の奥が疼いている。立ち上がった亜樹のモノも切ない滴を溢れさせたままだった。  イキたくて、イキたくて。それでも自分の身体であるはずのソコを触る事も、後ろを1人で慰める事も許されていなくて。  無意識に擦り合わせていた両膝を軽く叩かれ、開かされる。手に持ったティッシュで和真が軽く拭ってくれても。 『ふっぁ……ぁぁっ……』  触れるだけでもジリジリと走る快感に、亜樹のモノは新しい滴を溢れさせた。

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