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―――だがよく考えれば和己が黙ってるはずもない。
そう気づいたのは花火が始まってほんの5分ほどしてからで。
不意に和己の手が動きだしたかと思えば浴衣の中に手を差し込んできた。
「おいっ、なにしてっ」
シャツを下に着るようお袋に言われたけど、暑そうだからって素肌にそのまま着付けた浴衣。
前を割って入りこんできた手が腹をなぞって胸を這ってくる。
「お前は花火見てろ」
「見てろって……ッん」
胸の先端を摘ままれ、耳元で囁いた声がそのまま耳朶を噛んできた。
それだけで身体が震えてしまう。
「和っ……ここ、外っ」
「周りには誰もいねーんだし、いーだろ。お前はいーから花火見てろって」
「ちょっ」
遠慮なしにまさぐってくる手。
摘ままれたまま、ぐりぐりと手で捏ねられ、首筋にかかる吐息と吸いていてくる唇。
花火を見てろ、なんて言われてもさっきまでのように集中できるはずない。
痺れるような疼きが身体を犯しはじめて身じろぐけど後ろから拘束されてるから抜け出すことができない。
……というより、和己に触られて抜け出せるはずがない。
「……やめっ」
そう言う自分の声がひどく掠れて、甘ったるくて恥ずかしさに顔が熱くなった。
花火を見ないと。
夜空を揺らすような音を響かせながらあがる花火を必死に見ようとするけど肌を滑る手に意識は囚われてく。
「っん、……ちょ、まっ……」
上だけじゃ飽き足らずに裾を割って和己の手が太腿に這ってきた。
内側にすべりこんで焦らすようにあがっていく手。
「……なんだ履いてんのか」
「あ、当たり前だろっ」
上はともかく下を履いてないなんてあるはずがない。
軽く舌打ちした和己はボクサーパンツの上から触りだしてくる。
「まじで……やめろって」
「つかお前もう反応してンだろ」
「う、うるさっ、ん」
布越しに息子をぐにぐに揉んできた。
少し触られてただけで和己の言うとおり反応しかけてた息子はあっという間に硬度を増していく。
「外で触られて、ンなに反応してエロいな、お前」
笑う声がからかってきて、ふざけんなって返そうとした。
だけどぐっと押し付けられる腰に、和己の熱を持った硬さを尻に感じて―――、
一層顔と身体が熱くなるだけで俺はなにも言えなくなってしまった。
「っぁ…ッ」
やめろ、と言いたいけど、和己の馬鹿、と思うけど、単純に花火を楽しむっていう気持ちはもう霞んでる。
手すりをぎゅっと握りしめ、上と下と弄る手に指に熱い吐息が出るのを止められない。
「やめろもなにももう濡れてキてんだろ?」
襟元を広げられて肩に落ちてくる唇。
外なのに容赦なくて外なのにブレーキが外される。
「っ……、だめ……さわる、なっ」
「濡れたらマズイだろ」
余裕そうな笑う声。
ボックスパンツをずり下げて、直に触れて上下に擦ってくる。
花火はまだ上がり続けてるのに、大きな音が響いてるのに、耳に届いて頭の中を占領するのは卑猥な水音。
それが全部自分から出てる先走りのせいってわかっているから恥ずかしくて死にそうで首を振って抵抗してみる。
「……お前も頑固だな」
少し呆れたように和己がため息をついて握りこんでいた半身の先端に爪を立てた。
「ッイ、ぁ」
痛いのに先走りを塗りこめるように扱く手に背筋が震えてしまう。
「……だって……外っ……花火っ」
「だから周り誰もいねーからいーだろって言ってンだろ」
「うわっ」
いきなり今度は後をめくられ尻に手が這った。
双丘をなぞり前は一定のリズムで上下されたまま後孔に指が入り込んでくる。
濡れてもいないナカにゆっくり突き刺さってきた。
濡れてないから逆に生々しく感じて、少し抜き挿しされるだけで腰が揺れてしまう。
「敏感だな。外だからか? 先走りもスゲーし」
「う……るさっ…! 和……己ッ……花火っ……興味ないの……かよっ」
せっかく綺麗なのに。
こうして花火を見る機会なんて年に何度かで、だから思い出になればって思ったんだ。
和己が花火に興味なんてないのはわかってるけど。
「んなもん、あるわけねーだろ」
ぐちぐちと執拗に俺のを扱きながら俺の耳に吐息を吹きかけ、和己は笑った。
「お前以外興味あるもんなんてねーよ」
「―――……ッんぁ」
ありえない。
一瞬言われた言葉が理解できなくて思わず和己を見ようと肩越しに振り返ったら口を塞がれた。
絡みついてくる舌に耐えきれず舌を絡める。
ざらついた舌が生き物みたいに這って舐めまわして。
キスだけでさえ気持ちよくてたまらないのに、強い摩擦を繰り返す手に限界は寸前。
「……っ……ふ……ぁ……っ」
唾液がこぼれるのも構わず口内をぐちゃぐちゃにされて、下もぐちゃぐちゃにされて頭の中は熱で焼き切れそうだった。
「好きだろ?」
俺とスんのが、と口角を上げる和己に睨むように見る。
けど、
「……あたり…まえ……だろっ」
いやなはずがあるわけない。
「……好きに……決まってる……っ」
こんなとこでなに言ってるんだろうって自分に呆れるけど、そうだからしょうがない。
ナニがスキだって?、喉を鳴らして言う声が全部を痺れさせる。
「く……っあ、ンッ、も……ッ」
ぐり、と前立腺を擦られて前も強めに擦られて、一気に吐射感が限界を越した。
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