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「ッン!!」
和己の手の中に欲を吐き出す。
こんな―――外でイくなんて。
信じられなくてだけど気持ちいい。
「早かったな」
楽しそうな声がするけど脱力感になにも言えなくて、荒い息吐き出しながら手すりにしがみつくことしかできなかった。
後孔から指が抜けていき、すぐに濡れた指が入り込んでくる。
俺が吐き出したものをそのまま後に塗りつけられて、ほぐされる。
「……っ、和己っ」
花火はまだ上がり続けてる。
なのに俺がそう呼ぶ声は抵抗っていうよりねだってるような響きがあって、顔が熱くなった。
「ま、青姦もイイ思い出になるンじゃねーの?」
そんなエロい思い出なんて―――と思うけれど、のしかかってくる重みとジッパーを下げる音と、押し当てられる熱にどうでもよくなる。
俺の吐き出したものと触ってもいなかったのに濡れた和己のものでぐちゃぐちゃに混じりながらたいしてほぐしていないソコを押し広げられる。
鈍痛がするけど、慣れた硬さと形は簡単に受け入れられていく。
焦らすようなゆっくりすぎる抜き挿しに俺は散々喘がされ、上がり続ける花火は霞んで見えた。
「……ん……っかず、……っ」
もっと、と言う声が花火にかき消されてたらいいのに。
だけど、リョーカイ、って少し余裕の消えた含み笑いとともに律動は激しくなって。
「っ、ぁ……っ」
いま自分がどこにいてなにをしてるかなんてわからないくらい揺さぶられ、また俺はあっというまに絶頂に上り詰めさせられた。
「……ッ、く」
そしてすぐにそのあと奥深くを抉った和己のものがナカで膨張し爆ぜるのを感じた。
***
「……サイアクだ」
花火も終わり、静かになった屋上でため息をついた。
「散々ヨガってたくせによく言うな」
紫煙を吐き出しながら手すりに背を持たれかけさせた和己が鼻で笑う。
「……お前がスるからだろ」
「お前がそんな格好してくんのがワルイ」
「そんなって浴衣着てきただけだろ」
「犯してくださいっつってるよーなモンだって言ったろ」
「意味わかんねーし」
「で? どーすンだ?」
煙草片手、ビールを飲んでニヤニヤと和己は俺の全身を眺める。
ムッとしながら乱れた浴衣を必死で整える。
けど、緩んだ帯をしめなおすことができずに手で押さえてた。
「俺が直してやろーか?」
「……和己が?」
いかにも出来なさそうで訝しげに見てしまう。
「ああ。意外にも帯しめることが出来るんだなぁ」
「……じゃあ頼むよ」
おずおずと和己の前に立てば飲み干したらしいビール缶に煙草を落として口角を上げる。
なにか企んでそうな笑みに一歩後退りしかけたけどそれより早く帯を掴まれた。
「直してやる。もちろん"貸し"でな? この後ちゃーんと俺ンちで"返せ"よ?」
「はぁ!?」
どう考えても割にあわなそうな条件に声を荒げれば、帯を引っ張られて首筋に噛みつかれた。
「ッて」
「イヤなら、こんな乱れたかっこーのまま帰るか?」
「……っ……変態っ」
「はいはい。啓は変態が好きだもンなぁ?」
「うっさい。ちゃんと綺麗にしめろよ」
くつくつと喉を鳴らしながら俺の腰に手を回し、帯を最初から本当に綺麗にしめていく和己の様子を見つめる。
本当に青姦してしまうなんて。
流されてしまったことにまたため息がでるけれど―――。
「ほら、終わったぞ―――……っ」
至近距離にいる和己の体温を感じて欲情する俺はまだ足りてない上に、和己以上に馬鹿らしい。
自分から和己の口を塞いで俺から舌を絡めていった。
驚いたのは一瞬ですぐに応戦してくる和己の舌に身体を熱くさせながら夜風を感じた。
「で? 二回戦もココで、か?」
「そんなわけあるかっ。帰ってからだよっ」
「お前が誘ってきたんだろ」
「だから帰ってから! ちゃんと借り返すからっ」
「忘れんなよ」
「わかってるって!!」
「さーて、なにシてもらおーかな」
「……」
花火は見れたし、夏の思い出にはなったけど―――来年は絶対浴衣は着ないと決めた夏の夜だった。
……あともう絶対に借りは作らない!!!
☆終わり☆
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